主任講師寺薗の中医学コラム「中医学ってどうやって勉強するのん?」⑮
国際薬膳学院 主任講師 寺薗真衣の連載コラム
中医学ってどうやって勉強するのん!?
国際薬膳学院の主任講師の寺薗がお送りする連載コラム、毎週火曜日に更新しております!
第15章「表裏について考える④脾と胃」
こんにちは!
主任講師の寺薗です。
先週お休みをして何回かにわたってお送りしております、五臓六腑の表裏について。
肺と大腸、心と小腸に続いて脾と胃についてです。
まず、脾とは消化器系統全般を指す、と習います。
しかし、その割に腑の中身は小腸、大腸、胃、胆…と消化器を指すものばかり!
脾が消化器系統全般なのに、別枠で消化器系統がたくさん?!
この違和感を抱えたまま、さらに勉強を進めると、
「脾気は上に、胃気は下に働く」
なんて書かれています。上下でさかさまの性質があるので裏表の関係、というところはなんとなく納得がいきますが、
消化器系統全般…のイメージだけで行くと、気の向きが上向きなんて、吐いてしまいそう!
なのになぜ上下があるの??とわからなくなります。
この謎、一言で解決します!
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一緒に表裏関係を構成していて、動きの向きが正反対で成り立っている理由…
それは、
消化吸収する前か後か
の違いです。
胃は食べ物を受け入れて下部の消化管(小腸や大腸)に受け流す
(右から左に受け流す~というの、昔ありましたね(笑)胃は、上から下に受け流します(笑))
脾は消化吸収されたものを使える形、気血の素(水穀の精微)に変えて、肺に送ります。
肺は脾より上の方にある(臓器の中で一番高いところにある)ので上むきの力が必要なのです。
脾と胃は「脾胃」とまとめて表現されることがあり、そのせいでバラバラの働きを見た時に一瞬困惑してしまいますが、消化のビフォア―アフターだと思えば、理解できると思います。
またこのベクトルを見た時に、
脾は持ち上げられないとトラブルになり、たるみや(テンションが)上がらず無気力になり、
胃は下に下げられないとトラブルになり、消化不良や吐き気につながっていく、
という解釈ができます。
また脾胃のトラブルでありがちな「食欲不振」も
① 食べられないとおもったけど、意外とたべられた
という時と、
② お腹すくけれど、意外とすぐお腹がいっぱいになって食べられなかった
とでは脾のトラブルなのか、胃のトラブルなのか、違いが出てきます。
どちらがどちらかわかりますか?
① は、受け入れられるけど、全体のパワー不足なので脾
② は、エネルギーの不足を補いたいのに受け入れられないので胃
と、消化吸収のビフォア―アフターどちらのトラブル化を見ると判断ができるようになりますね。
私たちは食べたものでつくられています。
今の自分は今まで食べてきたものでできています。
何か薬を飲んだり、食べたりするにもこの「脾と胃」を必ず通って、必ず消化吸収のお世話になります。
食べたもののエネルギーを最大限に活用できるコスパの良い身体づくりには、この脾と胃の調子が万全であることが必要不可欠です。
脾胃のケアはしていて損はありません!
食欲の秋、しっかり脾胃を整えるもので調整しながら楽しみましょうね!
2016.11.01